
銅ベース値上がりの20年史|なぜ銅価格は上がり続けているのか?
近年、電線・電材・配管・電子部品などに欠かせない**銅(カッパー)**の価格高騰が続いています。 特に「銅ベース価格の値上がり」は、製造業・建設業・電気工事業にとって避けて通れない経営課題です。 本記事では、過去20年にわたる銅価格の推移を振り返りながら、値上がりの背景と今後の見通しをわかりやすく解説します。
銅ベース価格とは?
銅ベース価格とは、電線や銅管、銅製品の価格算定の基準となる銅地金(原材料)価格を指します。
多くの電材メーカーや商社では、LME(ロンドン金属取引所)価格や国内建値を基準に販売価格を決定しており、銅相場の変動がそのまま製品価格に反映されます。
銅価格の20年の推移を振り返る
① 2000年代前半:安定から上昇局面へ
2000年初頭、銅価格は比較的安定していました。しかし中国の急速な経済成長により、建設・インフラ需要が急増。
これをきっかけに銅需要が拡大し、価格は上昇トレンドへと転じます。
② 2003〜2008年:中国特需による急騰
「世界の工場」となった中国が大量の銅を消費し、価格はわずか数年で数倍に上昇。
この時期、多くの企業が原材料コスト増に直面しました。
③ 2008年:リーマンショックによる急落
世界金融危機の影響で需要が急減し、銅価格は一時的に大幅下落。
ただし、これは短期的な調整にとどまりました。
④ 2010〜2014年:回復と高止まり
世界経済の回復とともに銅価格も持ち直し、高値圏で推移。
インフラ投資や新興国需要が価格を下支えしました。
⑤ 2015〜2019年:横ばい〜低迷期
中国経済の減速や供給増加により、銅価格は比較的落ち着いた推移となります。
この時期は「銅価格は安定する」と考えられていた時期でもありました。
⑥ 2020年以降:再び急激な値上がり
コロナ禍による供給混乱、物流停滞、鉱山操業の制限が発生。
さらに、EV・再生可能エネルギー・AIデータセンターといった新たな需要が重なり、銅価格は再び急騰します。
2024〜2025年にかけては過去最高水準を更新し、「銅不足」が現実的なリスクとして認識されるようになりました。
なぜ銅ベースは値上がりし続けているのか?
① 電化・脱炭素社会による構造的需要増
EVはガソリン車の約2〜4倍の銅を使用
太陽光・風力発電、送配電網の強化
データセンター・AI設備の増設
これらは一時的なブームではなく、長期的な世界潮流です。
② 供給がすぐに増やせない
銅鉱山の開発には10年以上かかるケースも多く、環境規制も年々厳格化しています。
そのため需要が増えても供給が追いつかず、価格が上がりやすい構造となっています。
③ 為替・投機・地政学リスク
ドル安、投資マネーの流入、国際情勢の不安定化も銅価格を押し上げる要因です。
銅価格高騰が業界に与える影響
電線・ケーブルの値上げ
見積価格と実コストの乖離
長期工事案件での利益圧迫
在庫リスクの増大
特に電気工事業・設備工事業では、銅ベース改定=即コスト増となるため、価格転嫁や契約条件の見直しが重要になります。
今後の見通し|銅価格は下がるのか?
結論として、短期的な調整はあっても、長期的には高止まり・上昇傾向が続く可能性が高いと見られています。
理由は、
世界的な電化・脱炭素政策が後戻りしない
新鉱山開発が追いつかない
銅の代替が難しい
という構造的要因があるためです。
まとめ|銅ベース値上がりは「一時的」ではない
過去20年の歴史を振り返ると、銅価格は
「景気に左右されながらも、確実に水準を切り上げてきた」
ことがわかります。
今後は、
早めの価格改定対応
在庫戦略の見直し
銅使用量削減や代替検討
といった視点が、企業経営においてますます重要になるでしょう。
小原 一馬
経営企画室
